布団に入ったのにいつまでたっても寝付けない。だんだんとその状況に焦り、さらに寝付けない。このような悪循環に陥った経験は誰にでもあるのではないでしょうか。寝たいのに寝られない状態は辛いことですよね。このような不眠に陥る原因はさまざまですが、大きく関係していると言われているのは「自律神経の乱れ」です。ヨガには自律神経を整える効果がありますが、「ヨガ」といってもさまざまな種類があります。この記事では、不眠改善に効果のある「ヨガ」と「ヨガスタジオ」の探し方について解説します。ぜひ不眠症改善の参考にしてください。
注意が必要な「慢性不眠症」
まずは「不眠」と「慢性不眠」にについて解説していきます。
日本睡眠学会などによる「不眠」の定義は次のとおりです
- 布団に入ってから寝付くまでに30分以上かかる
- 一旦寝付いても朝までに何度も目が覚めてしまう
- 朝早く目が覚めてしまい二度寝ができない
- 十分な睡眠時間を取っているはずなのに、寝た感じがしない
不眠は誰でも経験しますが、一時的なものであれば「不眠症」とは診断されません。思うような睡眠がとれないことが続き、日中の倦怠感、注意力低下などの体調不良が起こる状態のことを指しています。
日本の成人おいて2人に1人が何らかの不眠症状を経験していると言われており、さらには、10人に1人の割合で「慢性不眠症」の状態に陥っていると言われています。
「慢性不眠症」とは、不眠の状態が3か月以上持続する状態で、この状態に陥ると生活の質が低下し、自力での回復は困難であると言われています。また、医療機関にて適切な治療を受けるレベルとされています。
「不眠」が起こる主な原因とされているのは次のとおりです
- 強いストレスによる自律神経の乱れ
- 精神疾患や身体疾患の症状(鬱、痛み、痒みなど)
- 加齢による体力低下や頻尿など
- アルコールやニコチン、カフェインなど刺激物の過剰摂取
統計によると、不眠症になる人は、男性よりも女性に多く、加齢とともに増加し高齢になると急激に増加すると言われています。
「不眠症」に陥らないようにするには、自分は大丈夫と安心せず、日ごろから睡眠の質を低下させないよう対策しておくことが大変重要です。
不眠症に効果的なヨガ
自律神経の乱れとは
不眠の原因は、「自律神経の乱れ」が大きく関係していると先ほど解説しました。その「自律神経」とは、無意識に生命活動を調整している神経で、交感神経と副交感神経に分けられます。

スムーズな入眠には「副交感神経」を優位にする必要がありますが、ストレス過多の状態では「交感神経」優位な状態となり、自律神経の乱れにつながります。
特に日中にしっかりと体を動かしていない人は、体内の巡りも鈍化している可能性があり注意が必要です。
ヨガとストレッチの違い
ヨガとストレッチはどちらも身体を動かす活動であり、体の柔軟性の向上に役立ちますが、双方には大きな違いがあります。
ストレッチは主に身体の物理的な柔軟性や機能向上に焦点をあてているのに対し、ヨガはそれに加え、呼吸と瞑想を通じて精神のバランスを整え、内面的な成長を促します。
ヨガで深い呼吸とともに緩やかに体を動かすことにより、ストレスにより過剰に緊張した身体をリラックスさせることで質の高い睡眠が期待できます。このことは米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH)を始めとするさまざまな機関による研究で証明されています。
ヨガは呼吸を大切にしますが、呼吸は唯一自分でコントロールできる自律神経へのアプローチです。さまざまな呼吸法が存在し、その中でも「複式呼吸」は、副交感神経を優位にすることは有名です。
ご存じの方も多いかと思いますが、複式呼吸とは息を吸いながらお腹を膨らませ、吐くときにへこませる呼吸法です。横隔膜が上下に動くことで内臓を緩やかに刺激し、血流の循環を促します。
ゆっくりと深い呼吸を行うことで副交感神経を活発にする働きがあり、気持ちを落ち着けたり、リラックスしたいときに効果的とされおり、筋肉の緊張をほどく効果もあるため、ヨガのポーズや瞑想を行うときにも多く用いられます。
また、瞑想も睡眠障害を改善するとされています。瞑想とは脳のお掃除とも言われ、心を静め身体をリラックス状態にするには、とても有効な手段です。楽な姿勢で呼吸に意識を向けることにより、睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌が促進され睡眠の質を高めます。
不眠に効くヨガのポーズ2選
古代インドから伝わる8400万種類とも言われているヨガポーズの中から「睡眠改善に効果的なポーズ」を厳選してご紹介します。紹介するポーズは背中のコリをほぐし、背中周りに集中している自律神経を整える効果が期待できますし、就寝前の布団の中で行うこともできます。
自律神経を整えるキャットアンドカウ
キャットアンドカウのポーズは、背骨の柔軟性を高め自律神経を整える効果があると言われています。また、背骨を動かすことで腰周辺の筋肉の緊張が和らぎ、腰痛にも効果があるとされています。
- まずは、四つん這いの姿勢になりましょう。手首を肩の下に、膝を股関節の下に置き、背筋はまっすぐに保ちます。

2.ゆっくり鼻から息を吐きながら、おへそを覗き込むように背中を丸めます。首は自然にだらんとさせ、肩甲骨を寄せます。

3.次に、ゆっくり鼻から息を吸いながら、お腹を突き出すように背中を反らせます。首を上にあげ、胸を開きます。この時痛みがある場合は無理せず、可能な範囲で行います。

4.2.3の動きを呼吸に合わせて繰り返します。
注意点としては、体の動きと呼吸を連動させること、痛みがある場合は自分が気持ちがいいと思える範囲で身体を動かすことです。
内臓の機能を活性化する橋のポーズ
橋のポーズは、背骨を整え肩や首のコリをほぐす効果があります。ホールドして呼吸することで、内臓の機能を活性化し血行を促進します。また、脳が内臓より低い位置になるため、脳への血流が促進され、脳がリフレッシュすることで自律神経が整えられるとされています。
1.仰向けになり、両ひざを立てます。両手は体側に置き、手のひらを床にペッタリとつけます
2.足幅は腰幅に開き、膝の真下にかかと、つま先は正面に向け、両膝を付けます

3.ゆっくり鼻から息を吸い両足で床を押しながらゆっくりとお尻を持ち上げます
4.胸の開きを感じながら3〜5回呼吸を行い、息を吸い切った状態でホールドします

5.ゆっくり鼻から息を吐きながら背中、腰、お尻の順に下ろします

6.3.4.を呼吸とともに数回繰り返します
どのポーズも、正しさにこだわったり、限界を超えて身体を動かす必要はありません。無理のない範囲で、気持ちよく身体を動かすことが大切です。
ヨガスタジオの見つけ方
ヨガを始める場合、まずは資格のあるインストラクターの指導のもとでヨガを実践することがおすすめです。指導を受けず自己流でヨガを学ぶことは、リスクの増加と関連しています。正しい呼吸法や基本的なポーズを学ぶことで、より早く効果が得られる可能性が高まります。
探し方の具体的なステップ
1.「地域名 ヨガ 不眠」「地域名 リラックスヨガ」などで検索
検索数の多い順から表示されるGoogleでの検索がおすすめです。検索窓に「地域名 ヨガ 不眠」と入力して検索ボタンを押すと、不眠症改善に特化したヨガ教室が表示されやすくなります。上の方に表示されているサイトは、人気のサイトです。
注意したいのは、表示された検索結果をよく見ると「広告」とかかれているものがあります。それは、企業がお金を出して広告しているという意味で、そのため上位に表示されており、本来のランキング上位は「広告」や「プロモーション」と付いていない記事ということになります。
2.スタジオのホームページやSNSでクラス内容や料金をチェック
ヨガにはさまざまな種類がありますが、不眠改善にはリラックス効果の高いヨガが適しています。また、呼吸法に重点をおいたクラスも不眠改善に役立ちます。ヨガスタジオによっては、不眠改善に特化したプログラムを展開している場合もありますので、そのようプログラムを選択するのがおすすめです。また、職場から自宅の間にあるスタジオなら、仕事のストレスを緩和させてから入眠できるといったメリットがあるでしょう。
不眠改善にはヨガを継続することが重要です。あまりに高すぎる料金や、通うのに時間がかかるスタジオは継続するにはハードルが高くなります。逆にあまりに安すぎる料金にも注意が必要です。入会後に高額な商材や機器を販売されたりといったリスクが伴う可能性が高まります。
3.「スタジオ名 口コミ」で検索し口コミをチェック
気になるスタジオが見つかったら、必ずそのスタジオの評判を確認しましょう。「スタジオ名 口コミ」で検索すると口コミが投稿されたサイトが表示されます。なお、口コミは偏った意見のこともあるので、複数の口コミを見て総合的に判断するようにしましょう。また、口コミが投稿された日時も重要です。あまりに古い日付の口コミは参考にはならないでしょう。
小さい個人スタジオの場合は、口コミが出てこない場合もありますが、口コミがないからダメというわけではありません。その場合は体験教室などに参加し自分の目で見極めましょう。
4.体験を申し込む
入会を決める前には、体験プログラムを受けてから決めましょう。多くのスタジオで体験プログラムは用意されています。ホームページから体験を申し込める場合もあれば、直接電話して申し込む場合もあります。
HPなどに体験プログラムが用意されていなくても、電話で問い合わせれば受け入れてくれる場合もあります。もし、体験や見学が不可のスタジオがあるのなら、リスクが高まりますので、選択肢からは除外してもいいかもわかりません。
近くにヨガスタジオがない場合
上記の方法で検索しても通える範囲にスタジオがない、夜寝る前にヨガレッスンを受けたいが夜遅く出歩くのは控えたいという人は、オンラインヨガスタジオがおすすめです。オンラインヨガスタジオは、自宅からスマホやパソコンを通してレッスンを受けることができます。安定したネット環境や、パソコンやタブレットがあるとなお良いです。
ライブ型レッスンやビデオ型レッスンなど、プログラムはさまざまですが、多くの講師が所属している場合が多く、不眠症改善に効果的なプログラムを選ぶこともできます。
オンラインヨガは、手軽にヨガを始めたい人や、通えそうなスタジオが近くにない人、自宅で寝る前にリラックスしたい人にとっては有効な選択肢となるでしょう。
まとめ
布団に入っても眠れない不眠は、ストレスによる自律神経の乱れが原因の一つです。ヨガは呼吸や瞑想を通じて副交感神経を優位にし、不眠改善に効果的です。
ヨガスタジオ選びでは、リラックス系のクラスや不眠改善プログラムの有無、インストラクターの専門性をチェックしましょう。体験レッスンで雰囲気や相性を確認するのがおすすめですが、近くにスタジオがない場合は、オンラインヨガも有効な選択肢となります。
自律神経を整えることは、不眠改善以外にもさまざまなメリットがあります。ぜひ、リラックスして人生を楽しみましょう。
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